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2018.10.31
緑泉寺@浅草 〜食と仏教でマインドフルネスな新ビジネスを開拓〜|訪問型セミナーSpeak East vol.11(10/24開催) #イベントレポート

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東東京の先輩起業家の仕事場にお邪魔して、創業の体験談やビジネスの内容をお聞きする訪問型セミナー「Speak East」。11回目は「暗闇ごはん」や「寺社フェス向源」など様々な企画に携わり、メディアにもたびたび取り上げられているお坊さん、青江覚峰さんにお話しを聞きに行きました。

会場は西浅草にある浄土真宗東本願寺派緑泉寺の本堂。立派な仏像が鎮座する空間に、20人ほどが集まりました。

お寺の跡継ぎとして生まれながら、アメリカでMBA(経営学修士号)を取得し、ビジネスの世界で活躍していた青江さんが日本に戻りなぜ仏教に取り組むことになったのか? 食べることやメディアを通して、仏教の教えを広める取り組みに迫ります。

【日時】
2018年10月24日(水) 19:00〜21:00

【会場】
緑泉寺
東京都台東区西浅草1-8-5
http://www.ryokusenji.net/

【ゲスト】
青江 覚峰 氏(株式会社なか道代表、緑泉寺住職)

【ファシリテーター】
鈴木 淳 氏(台東デザイナーズビレッジ 村長)

【タイムテーブル】
18:30-19:00 会場受付
19:00-19:10 イッサイガッサイについて
19:10-20:10 トークセッション
20:10-20:15 感想シェア
20:15-20:30 Q&A

3つの顔をどう並立?

お坊さん、料理僧、仏教コンテンツプロデューサーという3つの顔を持ち、多彩な活動を展開する青江さん。それぞれをどのように仕事にしているのでしょうか。

まず軸足となる「お坊さん」。青江さんは、お寺、仏教、お坊さんという3つの要素を、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザーインターフェースと例えて説明します。

ハードウェアは単なる箱。その中にお経、仏教というソフトウェアがインストールされて、初めてお寺として機能します。会場の緑泉寺がビル型のお寺ということもあり、一層イメージがしやすいですね。

緑泉寺の玄関。本堂は階段を上がって3階にあります

緑泉寺の玄関。本堂は階段を上がって3階にあります

ただパソコンやスマートフォンなどのハードを動かすソフトウェアは、プログラム言語で記述されていて、そのままでは人間が理解したり操作したりすることは難しい。そこで、マウスやタッチスクリーンのように、間を仲立ちするのがユーザーインターフェースです。

お坊さんはお経という、人生を深く、楽しく、生きやすく過ごすためのソフトを、分かりやすく伝えるインターフェース。そう捉えると、確かに青江さんの活動のバックボーンが理解できる気がします。

本業あっての「部活動」

お坊さんとしての活動は朝5時の読経に始まり、食事や掃除、法事、講話などがありますが、大体午後3時頃には終わるそうです。その後の活動を、青江さんは「部活」と呼びます。

「部活は楽しいけれど、そればっかりにのめり込んでは身を滅ぼしかねない。本分であるお寺の住職業をしっかりやっているので、その他のことが生きてくる。そこを履き違えてはいけない」(青江さん)

その青江さんの2つ目の顔が「料理僧」。料理僧とは青江さんの造語で、料理をすることで仏教を伝える僧侶のこと。料理をつくったりイベントを開催したり、ワークショップを実施したりしています。

料理雑誌に掲載された、青江さんのレシピ

料理雑誌に掲載された、青江さんのレシピ

食を通した瞑想を体験

ここで会場の参加者に、小さなカップが配られます。その中には、レーズンやカシューナッツ、アーモンドなど5種の穀類が入っています。少し会場の照明を落とし、徐々に厳かな雰囲気に。「喫茶喫飯ワークショップ」の始まりです。

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1口ずつ噛み締めながら、ゆっくり思いを巡らせます

1口ずつ噛み締めながら、ゆっくり思いを巡らせます

「想像してみてください。今、口の中に入れたものが、どこから来たのか……」

お坊さんが食前の言葉として読む、中国が唐だった時代以前のお経「四分律行事鈔」の「五観の偈」の内容を、青江さんが平易な語り口で問いかけます。マインドフルネスという瞑想法のひとつで、ストレスを軽減する効果が認められています。

5口で5つの問いを投げかけ、最後にどの問いが印象に残ったかを振り返ります。5行の問いを自らに問うその姿勢が大切で、それが仏道の修行につながるという体験でした。

青江さんは、こうしたワークショップを企業の研修などに取り入れています。

自分の強みを横展開、レバレッジを効かせる

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3つ目の顔が、仏教関連のコンテンツプロデューサー。書籍やマンガ、イベントなど、メディアを使って仏教の考え方を広めます。

著書はレシピ本を中心に10冊以上。雑誌掲載も多数です。

イベントは、2011年にスタートした世界最大級の寺社フェス「向源」。昨年まで副代表を務めていました。東京・芝にある増上寺をメイン会場に、坐禅や写経など幅広い日本文化・仏教文化体験に、仏前結婚式や宗派を横断したお経のライブパフォーマンスまで盛り込んだフェスティバルです。

このイベントで知り合った、『孤独のグルメ』の原作者である久住昌之さんに誘われて、マンガの監修も手掛けることに。こうして生まれたマンガ『サチのお寺ごはん』は昨年、テレビドラマ化もされました。

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コンテンツプロデューサーとして意識しているのは、「横展開」と「レバレッジ(てこ)」と青江さん。久住さんとの最初のきっかけは、著書の帯にコメントをお願いしたことでした。

「自分が注力したのは起点となる書籍だけ。これをうまく展開していくことで、どんどんビジネスが広がり、また原点に戻ってくる」(青江さん)

最初にかけた労力が1だとしても、それが展開していく過程で、てこの原理の様に10倍にも100倍にもなる。そのためには、自分が何者であって何をするべきか。どこからどこまでを自分の仕事とするべきか、の見極めが大切になってくると、青江さんは話します。

「入り口はFun(面白さ)でないときっかけがつかめない。しかし、出口はIntersting(興味深さ)にする流れを、自分の得意分野・専門分野に引き寄せてしっかり考えることを常に意識しています」(青江さん)

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お寺の本堂という、なかなか体験できない場での貴重なトークセッション、ありがとうございました!

<イッサイガッサイより今後のイベントについてお知らせ>

【11/3開催!】東東京イベンターズ・ミートアップ 〜東京の東側をもっと面白くする作戦会議やります!〜
詳細:https://eastside-goodside.tokyo/cat-event/15276
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【11/8開催!】Speak East vol.12 「クリエイターと町工場が起こす化学反応」〜アイデアを進化させる製本工場との付き合い方とは?〜
詳細:https://eastside-goodside.tokyo/cat-event/15349
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【12/7締切】好きを仕事にしたことで、まちを元気にした達人たちに学ぶ 東東京創業スクール
詳細:https://eastside-goodside.tokyo/cat-event/15280
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この記事を書いた人

樋口 トモユキ

よろず編集業。大都会東京を横断して、東側と西側を行き来しております。人々が集まり営む都市というものに対する飽くなき好奇心を胸に、日々是精進。http://localmedia.info/