トップモノづくりパートナー紹介荒川区のモノづくりを盛り上げたい! 紙の可能性を追求する加工会社

2018.10.10
荒川区のモノづくりを盛り上げたい! 紙の可能性を追求する加工会社

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株式会社ロッカ
代表取締役 馬場将実さん

レーザーカット加工、型抜き加工、ナンバリング印刷を主業務とする株式会社ロッカ。加工しやすく、種類も豊富な紙の可能性を追求したいという思いから、製本業界の経験が長い馬場将実さんが2009年に荒川区東尾久で創業しました。社名の由来は、雪の結晶を表す「六花(ろっか)」。雪の結晶のように完璧な美しさをたたえるモノづくりで感動を伝えるべく、日々業務に取り組んでいます。

微細な切り抜き加工を施した「千代切紙」(写真)でTASKものづくり優秀賞を受賞するなど、モノづくり関係の受賞経験も豊富で、商品の企画側の気持ちに寄りそえるのがロッカの特徴。2018年9月には新工場への移転を果たし、さらなる業務拡大を目指しています。

新工場への移転おめでとうございます!すごく広くなりましたね。

ありがとうございます。工場のスペースも3倍以上になって大型の機械も置けるようになったので、これからさらに頑張っていこうと気持ちを引き締めています。事業の拡大を目指しているのはもちろんですが、社員の労働環境を改善したいという思いがあり、同じ地域内で物件を探し続けていました。

新工場の入口には、雪の結晶を表す「六花(ろっか)」のロゴが

新工場の入口には、雪の結晶を表す「六花(ろっか)」のロゴが

同じ地域内で探されていたんですね。

東尾久は、最近盛り上がっているんですよ。私と同じか、それより若いつくり手がいるモノづくりの現場が増えていますし、活版印刷を手掛ける会社や、新しいカフェもできたりして街が少しずつ変わってきています。新工場の2階の一部は、地域が盛り上っていくための場所として開放したいという思いがあります。ふらっと立ち寄れて、モノづくりに限らず楽しい時間を過ごせるような場所にしたい。

そう思ったのは起業前に、家電製品の営業マンとして働いた経験が影響しているかもしれません。その時教わったのは、自分の担当する製品だけを売ろうとしてもダメだということ。売り場にお客様が来なければ、お店全体がにぎわっていなければ、街に人がいなければ……最終的に自分の商売も上手くいかなくなります。ここも、荒川区の盛り上がりに一役買えるような場所にしていきたいです。

クリエイターの方も工場に来られる機会が増えそうですね。

そうですね。仕事の種類によって、一部の機械は空いているケースもあります。セキュリティ面などクリアする必要はありますが、クリエイターさんやモノづくりをしたい方への機械の時間貸しを考えています。工場の機械を使うにはコツも要りますし、できるだけベストなものをつくれるように当社の社員がサポートしたいと思います。

新工場は社員のみなさんでDIYしてつくり上げた。これからの展開が楽しみ

新工場は社員のみなさんでDIYしてつくり上げた。これからの展開が楽しみ

最近受けた中で、印象に残るお仕事はありますか?

所属する製本組合の松岳社から依頼を受け、「月岡芳年伝(中央公論美術出版)」という書籍のカバーを加工しました。幕末から明治前期に活躍した浮世絵師について書かれた本です。この絵師は、歌舞伎や講談の残酷な場面を脚色して描いた「無惨絵」で有名になりました。

彼の描き出す血みどろを表現するためにレーザーで穴を開け、表紙の赤色を透かしています。デザイナーさんが細かな表現ができるレーザー加工の良さを活かし、血がだらりとしたたる感じを見事に表現しました。9月頭に出版されたのですが、3週間程で重版が決まってビックリしました!

加工技術にはそれぞれ活かせる場面があります。同じ製本業に関わる会社同士で「こんな表現をしたいならあの会社」と紹介し合える関係性は、お互いがより良いものをつくろうという気持ちを持っていないと維持できません。いい関係だなと改めて感じることができたという意味でも、印象に残る仕事でした。

血がしたたり落ちる様子が表現された書籍のカバー。揺らぎがリアル!

血がしたたり落ちる様子が表現された書籍のカバー。揺らぎがリアル!

クリエイターや他社から、モノづくりに関する相談を受けたことがありますか。

ご相談はたくさんあります。スケートボードへの彫刻や、本に挟んで使う自動しおりなど、自分が想像しない案件が寄せられてその都度勉強になりますね。

ただ、クリエイターさんからご相談いただいた案件はロットや納期の面でなかなか条件が合わず、実現に至ることは正直少なかったです。ですが、これまで会社の規模や注文ロットに関わらず多くの方に助けられて事業を続けてこられているので、個人の方にも恩返ししたいと思っています。

今年は店舗販促EXPOに出展し、多くのご相談をいただきました。繊細な加工が求められるグリーティングカードなどの受注をいただき、当社の技術が活かせる場面が広がっています。

大型のレーザー加工機を扱う馬場さん。グリーティングカードを製作中

大型のレーザー加工機を扱う馬場さん。グリーティングカードを製作中

クリエイターが御社に相談できる機会はありますか?

ご相談はホームページの「お問い合わせ」かメールでお受けしています。お急ぎの場合はお電話でも大丈夫です。また、さまざまなご縁があり、来年の1月にお隣の足立区で開かれる「あだちメッセ」に出展が決まりました。展示会等にも出展しているので、お声掛けください。

御社では、どのようなモノづくりがお得意でしょうか。

当社が得意とするレーザーカット加工は、微細な切り抜きや折り目用ハーフカットなどが可能です。繊細な表現が求められるウエディングアイテムやペーパークラフト、軽やかさを活かした室内デコレーションにも利用されています。グラフィックソフトのデータで直接加工できるため抜型が不要で、小ロットの製作にも対応しやすいのも魅力です。また、仕上がりの美しさを前提とした量産体制には自信があり、当社が選ばれる理由のひとつだと思います。

来年で当社は10期目を迎えます。ITとの融合を目指しつつ、創業時の気持ちをもう一度思い出して頑張っていこうと思います。ご相談お待ちしています。

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株式会社ロッカ
住所:〒116-0012東京都荒川区東尾久1-15-3
TEL:03-6458-2770
FAX:03-6458-2771
代表者名:代表取締役 馬場将実
従業員数:5名(2018年4月現在)
創立年:2009年
業態:レーザー加工、型抜き加工、ナンバリング印刷、印刷製本紙工全般
https://www.rokka-p.co.jp/

写真:イシバシトシハル

この記事を書いた人

岡島梓

フリーライター。周囲の人や町の魅力を言葉で誰かに届け、私のあずかり知らないはじまりを作れたらと思います。明日が少し楽しくなるきっかけの時間「旅する図書館」というサロンをさまざまな場所をお借りして開いています。https://www.facebook.com/travelinglibrary.ultreya/