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2019.11.01
「コミュニティを育む、デザインの仕事とは?」TOKYO L.O.C.A.L BASE@町屋|訪問型セミナーSpeak East vol.14(10/17開催) #イベントレポート

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「Speak East!」は、東東京の先輩起業家の仕事場にお邪魔して、創業の体験談やビジネスの内容をお聞きする訪問型セミナー。14回目の今回は、荒川区町屋で地域のコミュニティ拠点の仲間入りをした「TOKYO L.O.C.A.L BASE」を運営しているNPO法人 TOKYO L.O.C.A.Lの代表理事である丸山慎二郎さんにお話をお聞きしました。

「コミュニティを育む、デザインの仕事とは?」をテーマとしたお話の中で、丸山さんのこれまでの経験談はもちろん、明るく前向きな人柄や会社の想いが存分にわかる時間になりました。

【日時】
2019年10月17日(木) 19:00-21:30(開場 18:40)

【会場】
TOKYO L.O.C.A.L BASE(東京都荒川区町屋1-3-12)http://tokyolocal.me/

【ゲスト】
丸山 慎二郎 氏 (NPO法人 TOKYO L.O.C.A.L/代表理事)

【ファシリテーター】
小林 一雄 氏(メトロ設計株式会社代表)

【タイムテーブル】
18:40-19:00  会場受付
19:00-19:10  イッサイガッサイ説明
19:10-20:30  トーク
20:30-21:30  交流会

イッサイガッサイについて

はじめに、今回の企画を主催する「Eastside Goodside(イッサイガッサイ)東東京HUB」について、メトロ設計株式会社、小林一雄さんから説明がありました。今回は、参加者の約半数の方たちが初めての参加となりました。

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「CREATION IN EASTSIDE」を合言葉に創業者をサポートし、東東京エリアをワクワクする地域に変えることをミッションにこれまで活動をしてきたのがイッサイガッサイです。ものづくりに精力的に取り組む現場に赴いたり、創業者に事業にかける想いを取材して読者にお届けしたり、東東京で起業された先輩方を訪問するイベントや、クリエイター起業塾などを開催するなど活動は多岐に渡ります。

「実は大勢の前でお話をするのはとても緊張するんです…緊張を解くためにみんなで乾杯して飲みながら話しましょう!」そんな丸山さんの意外(?)な一面を早速垣間見つつ、みんなで乾杯をしてスタート。

ROOM810が誕生するまで

丸山さんの実家の家業は、建設業の設備業務を行っていました。お客様がいてゼネコンがいて間に企業が入り、下請けの自分たちがいる。そんな業界の縮図は変わらないと思っていた丸山さんは、以前から漠然と業界を変えていきたいという思いを抱いていたのだそうです。家業を手伝ったのは、出会った人の家に泊まらせてもらった時に言われた「人生どうしたいんだ?」という一言だったといいます。「下請けで工事をする立場にとどまることなく、設計や営業を徹底してできるようになり、お客様の顏が見える位置で仕事をしていたい」と決心して、26歳から33歳までの間、家業を手伝いながら経験を積んでいきました。
経験を重ね、クライアントの顏が見えるようになってきた2008年、建設業界を変えるための高みを目指し、下請けから脱却して設計などができる会社をつくろうと33歳で独立して「ROOM810」を設立しました。ところが、自身は実家の会社で働いていた経験しかないため、設備のこと以外はわからない状態。できることから始めようと、最初は空調機械を販売するHP制作を行うところからのスタートでした。それが、デザイン会社として活躍するROOM810の原点です。
「今思うと苦しいブランディングだったんですけど『商品は空気です。』なんて伝えながら売っていましたね(笑)」。

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会社設立から2年程は、実家の会社での経験などからできる仕事で事業をなんとか継続していたのだそうです。工事業者の枠からなかなか抜け出せていなかったときに、工事会社のイメージやそれらの仕事にとどまらない仕事の拡がりが出来る会社を目指し、「デザインができる会社」になることを決意します。

ところが、宣言したもののデザインの仕事を受注するにも苦労していたのだそう。そのときに、イベント企画運営をするのが好きだった丸山さんは、オフィスをデザインして多くの関係者や友人を呼んではPRを繰り返していました。そこから、デザインの相談が舞い込みデザイン会社としての一歩を歩み始めます。

印象的だったというデザインのエピソードを話してくれました。
とあるイタリアンバルの店舗設計の発注を受けたときのこと。リーズナブルに楽しめるお店として店舗デザインを依頼されます。ここで行ったデザインの手法はROOM810としての挑戦でもあり、のちに反響を呼ぶものとなりました。小説をつくってストーリーにあったデザインをしたのです。イタリアにあるアマルフィというまちにある酒場で起こる日常というコンセプトで作成されたストーリーをもとに、店舗設計がされていき見事にストーリーが実写になったような素敵な店舗を誕生させました。

こうしたデザイン手法が反響を呼び、デザイン会社として面白いことをやっている会社だと認知されていき、方々から相談がくるようになっていきました。

復興支援活動は、「継続」を大切に

今回の会場となった「TOKYO L.O.C.A.L BASE」は、地元の人たちに愛されるカフェ・ダイナーとして、地域活性化とブランディングを行う拠点として、そしてインキュベーション施設「COSA ON」と連携したカフェの役割などを担うコミュニティ型のカフェダイナーとして、今年5月に誕生しました。湯島にあったオフィスを丸山さんの地元である町屋に移すタイミングで生まれました。

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ROOM810を創業してから数年、低迷期が続いていたとき2011年の東日本大震災が起こります。
当時、仲間たちと東北に出向きその惨状を目の当たりにしてショックを受けた丸山さんたちは、自分たちの無力感を感じつつも、自分たちのデザインで何か解決できる取り組みができないかと考えます。東北に出向いては復興支援イベントを開催して継続的に活動を行ってきました。しかし、復興支援をするために開催するイベントにはどうしても費用はかかってしまいます。継続をしていくことこそが、復興につながることだと信じている丸山さんは、「TOKYO L.O.C.A.L BASE」が誕生するタイミングで、NPO法人として活動することを決意します。

この場所で、東北にまつわるイベントや地域の良さを知ってもらえるようなイベントを開催し、そこで得た収益金を基金として被災地に赴き、被災地の方たちが無料で参加できるイベントを行う。こうした復興支援活動をこれまで継続して、35回以上行っています。東京で何かできることで、長く楽しく続けていく。そんな思いを持って取り組んでいるのだそうです。

「楽しいことは、正しい」

復興支援活動のように継続的に続けていける要因はどこにあるのでしょうか。丸山さんは、「楽しいことは、正しい」という強いポリシーがあるのだそうです。「僕にとっては、楽しいと思うことしか続けられないし、それが続くということは結局のところ正しいことだと信じているんです」と話す、丸山さん。
子どもの頃、勉強嫌いだった丸山さんは母親からの言われた「遊びの天才になりなさい」という一言が、今に通じているといいます。勉強は好きではなかったけれど、母親の言葉がきっかけとなって、成長につれてDJに挑戦してみたり、キャンプを開催したり、イベントを企画したり――。当時から何に対しても「面白いのかな?」「何のためにやっていることなのだろう?」と常に楽しさを追求して過ごしてきたそうです。

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「同じことをするにしても、『どうやったら楽しくできるのかな』と考えていましたね。仕事もそうで。私たちは仕事に大半の時間を使っているので、仕事自体に楽しみを見出せないともったいないと思っています」という丸山さんの言葉通り、ROOM810のスローガンも“EVERYDAY FRIDAY 楽しいことは正しい。はたらくをもっと楽しく。”と聞いている側もワクワクするスローガン。そして、「大事なことの順番を間違えない」というクレド(信条、価値観)を設定しています。仕事は重要ではあるけれど、仲間や家族、自分など近いところから大事にできるようにしてほしいという思いが込められています。身近にいる人たちを幸せにできない人が、お客様に結果としていいものを提供することは難しいと考えを持っています。

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この日参加されていた社員のみなさんもニコニコしながら丸山さんの話しを聞いていて、丸山さんの強い想いがしっかり社員メンバーに伝わっていて、みんなが楽しいことを真剣に取り組んでいるからこその表情なのだろうと、ROOM810の雰囲気を垣間見ることができました。

経済活動を促進させ地域活性化へ、挑戦は続く

デザイン会社として、なかなか売上を上げることができずに苦労した時期から現在まで駆け抜けてきましたが、地域活性化のために次のフェーズに突入し始めたようです。
今、中小企業の抱える課題はいい商品ができるだけでは売れないということ。どうやってお客様に買っていただくかのブランディングが必要になっています。

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丸山さんは、「中小企業(製品)」「金融機関(融資)」「広告会社(ブランディング)」の3者の経済活動が成り立ち活発化していかないと、中小企業が立ち行かなくなると危惧しています。そこにTOKYO L.O.C.A.L BASEは挑戦し、3者が直接結びつかなくともTOKYO L.O.C.A.L BASEをきっかけに間接的につながる機会を生み出すことによって、さまざまな関わりや解決の糸口を見出していけるようにしたいと考えています。新しいことに対してブランディングをすることにお金を使い経済活動を活発化させるために、中小企業の魅力を表現できるようTOKYO L.O.C.A.L BASEという場所を活かそうとしています。

トークを通じて、地域を盛り上げる活動も、企業を伸ばす取り組みもデザインのその先には、いろいろな拡がりが生まれるのだと感じました。

丸山さんの楽しく想いの込められたトークのあとは、懇親会!
まだまだ話しが聞き足りないとばかりに丸山さんに質問している方や、参加者同士で想いを伝え合う方たちがいたりと、非常に盛り上がり活気ある懇親会となりました。

今回も、多く方にご来場いただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

草野あすか

フリーライター。新卒で大手鉄道会社に入社し、営業や開発部門を経験。2017年より“働く人が生き生きとできる、背中を押せることをしたい”とフリーライターとして活動を始める。記事執筆のほか、地域や人を応援できる場づくりも行っている。