「乾杯tonight?」は東東京での創業やプロジェクトを後押しする「Eastside Goodside(イッサイガッサイ)東東京モノづくりHUB」主催のトークイベントです。
3回目の今回はシブヤ大学学長の左京泰明さん、面白がる会主催の唐品知浩さんをお迎えし、「これからの地域を盛り上げる、コミュニケーターの役割ってなんですか?」をテーマにお話しいただきました。
【会場】
SOOO dramatic!(東京都台東区下谷1-11-15)
http://sooo-dramatic.com/
【ゲスト/ファシリテーター】
左京 泰明 氏 (特定非営利活動法人シブヤ大学 学長)
唐品 知浩 氏 (株式会社リゾートノート取締役/面白がる会)
今村 ひろゆき 氏 (まちづくり会社ドラマチック代表)
【タイムテーブル】
18:30 – 19:00 会場受付
19:00 – 19:10 イッサイガッサイ説明、乾杯
19:10 – 19:15 アイスブレイク
19:15 – 19:45 各ゲストの自己紹介
19:45 – 20:15 ディスカッション
20:15 – 20:30 感想シェア、Q&A
20:30 – 21:00 交流会
はじめに、今回の企画を主催する「Eastside Goodside(イッサイガッサイ)東東京モノづくりHUB」について、まちづくり会社ドラマチック代表、今村ひろゆきさんから説明がありました。創業者をサポートし、東東京をワクワクする地域に変えることがミッションのイッサイガッサイ。創業者の想いやモノづくりの現場を取材して広く知らせたり、クリエイター起業塾なども開いています。
お待たせしました、会場に集まった参加者のみなさんと、乾杯トゥナーイ!!
アイスブレイクでは、数名のグループで自己紹介。すでに地域で活動を始めている方や、これから活動したい方同士の会話で、約50名の方が集まった会場は一気に盛り上がります。
熱気冷めやらぬ中、面白がる会主催の唐品知浩さんから自己紹介です。
「◯◯を面白がる会」という、課題解決型アイディア出し飲み会を、約80回も開いてきた唐品さん。これまでに、「不動産を面白がる会」、「神田を面白がる会」、「父親を面白がる会」、「移住・多拠点居住を面白がる会」など、幅広いテーマを扱ってきました。
平日の日中は、日本唯一という別荘専門不動産サイト「別荘リゾートネット」の運営、夜は「面白がる会」、休日の昼は「YADOKARI小屋部」というリアルな小屋づくりを通してコミュニティを地域に広げる活動、夜は、映画×アウトドア×ファミリーがキーワード映画イベント「ねぶくろシネマ」の活動という切り分けで、多岐にわたって活躍しています。
唐品さんが活動に当たって心がけているのは、「どの地域でも使える汎用性の高さ」と「ビジネスマネタイズ」、そして「オリジナリティ」。それらが組み合わさった結果、エリアに対するインパクトが生まれるのだそうです。唐品さんがお住まいの調布で始めた「ねぶくろシネマ」は、調布以外の遊休地でも実施されるなど、そのオリジナリティと汎用性が高く評価され、マネタイズも順調です。
続いて、シブヤ大学学長の左京泰明さん。「シブヤ大学」は特定の校舎がなく、カフェや商業施設、公園など渋谷の街ごとをキャンパスとする市民大学。NPO法人が運営し、様々なバックグラウンドを持つ講師陣の授業を年齢問わず誰でも受けられます。
シブヤ大学では、たくさんのボランティアスタッフが中心となり、自分たちの悩みや、もやもやを反映した「自分が受けたい授業」を企画します。常に活動したい人が循環していることが、2006年から12年という長い間続いている秘訣だそうです。
左京さんがシブヤ大学を始めたきっかけは、商社時代に、仕事の悩みを相談し合える会を開いていたこと。立場や環境の異なる人たちと話す時間に自分も救われ、若者がキャリアを見つめ直すきっかけの場が必要だと感じて立ち上げたそうです。
お2人の自己紹介が終わったところで、ディスカッションに移ります。
テーマは「地域を盛り上げる人に必要なことってなんだろう」。まず、2人ともが挙げたのは「課題発見力」。
唐品さん:地域を面白がる会の場合、課題出しの前に街歩きをして街の文句を言い合うんですが、ある街では全然文句が出なかった。そんなとき、参加していた高校生が『自慢できるものがなく、若者が集まれる場所はマックだけのこの街が嫌いだ』って言ったんです。それを聞いた大人たちが、急に真剣に街の課題を考え始めたのが印象的で。課題発見のためにはいろんな視点から物事を見る必要があるから、ブレストは大切にしてます。
左京さん:イタリアへの視察で、NPOが運営するお洒落なショップを訪ねました。すべての商品が5ユーロ以下の生活困窮者のための店なのですが、ここができるまでそのNPOは、貧しい人々に様々な物を配っていたそうです。でも、物品を分配しても彼らは自立しなかった。彼らの心情に寄りそって考えると、物をただで配ることが自尊心を傷付けてきたのだと理解し、洒落た構えの店で、きちんと販売することを選んだそうです。課題発見には、現状への共感が大切だと思いましたね。
「地域での活動を続けるために心がけていること」という投げかけに対しては、「主催側が無理をしないこと、参加者にも、考えることで自分のためになったり、仕事につながったりといったメリットを提示すること」と唐品さん。
左京さんは、補助金に頼らない仕組みづくりが大切と話します。一例として、ご近所と仲良くなろうという渋谷区との事業「渋谷おとなりサンデー」では、普段使えない公共空間を活用できたり、自分の得意を活かした企画を立てられたりといった、楽しさを感じてもらうことを重要視していると紹介しました。
ディスカッションの後は、周辺の参加者同士で感想をシェアし、質問タイム。
「ねぶくろシネマがマネタイズできた理由はどこにある?」という質問に対して、唐品さんは常に「関わってくれる人に何を返すのか、お金を出してくれる人は何を求めているのか」を意識し、自分のしたいこととの着地点を見出していると話します。
唐品さん:不動産をはじめとしたさまざまな業界がファミリーへのアプローチを欲している中、家族連れを集められるメディアとしての「ねぶくろシネマ」に魅力を感じてもらえたんだと思います。
続いて、「SNSで発信するときに気を付けていることは?」という質問。「実は、SNSでの発信が苦手…」と苦笑いの左京さん。今までプロジェクトを始める際は、身近な人に話し、どのあたりが共感ポイントなのかを探ってきたそう。
「すべてが自分のプロモーションであり、周りへの影響も考えると怖いけど、発信で始まることは多い」と話す唐品さん。ポイントは、なるべく短く書くこと。想いだけをアピールする長文はダメ!だそうです(笑)。
最後はゲストと参加者同士の交流会。もっと聞きたい!という熱心な参加者とゲストが話し込む姿も見られました。
最後に、地域で活動したい人へのアドバイスをいただきました。
左京さん:『ゴールは何なの?』『プロセスは?』などと、事業計画的なことを問われたときに答えを出せなくても、自分なりに『こっちかな』という方向へ踏み出すことが大切だと思います。まずはやってみる!
唐品さん:人が動いたところにマイナスはないし、情報共有できただけでも前に進めている。街には面白くないこともたくさんあるけど、自分なりに面白がれる力を身につけると活動しやすいし、さまざまなチャンスもめぐってくると思います。
最後は、ゲストのお2人を真ん中に、SOOO dramatic!の定番「入谷ポーズ」で笑顔締め! たくさんのご参加、ありがとうございました!
<イッサイガッサイより今後のイベントについてお知らせ>
【8月2日開催!】greenz.jpのQちゃん×正太郎くん 〜これからの「しごとをつくるコツ」って何ですか?〜「乾杯tonight vol.4」
詳細:https://eastside-goodside.tokyo/cat-event/14942
イッサイガッサイ×greenz.jp東東京創業スクール しごとをつくる×地域コース
詳細:https://eastside-goodside.tokyo/cat-event/15022
フリーライター。周囲の人や町の魅力を言葉で誰かに届け、私のあずかり知らないはじまりを作れたらと思います。明日が少し楽しくなるきっかけの時間「旅する図書館」というサロンをさまざまな場所をお借りして開いています。https://www.facebook.com/travelinglibrary.ultreya/