トップインタビュー「全世界70億人のLifeをGoodに」──台東区で生まれ育ったウェブ制作会社の・・・

2018.11.07
「全世界70億人のLifeをGoodに」──台東区で生まれ育ったウェブ制作会社の成長エンジン

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株式会社LIG 代表取締役
吉原 ゴウさん

ある時は、社員採用のために社長が砂浜に埋まり(!?)、またある時は、社員が地方に移住したり、世界一周の旅に出かけたりしながら、思いもよらない新規事業を立ち上げてしまう。そうして、常に業界の注目を集めているのが株式会社LIGです。

LIGは2007年の創業以来、“台東区のウェブ制作会社”という看板を掲げながら、最近では全国・海外での店舗出店や、教育事業、地方創生事業の立ち上げなど、ひとつの場所・ひとつの領域に縛られない多角的な発展を続けています。

こうした成長を後押ししてきたものは何なのか? そして長年事業を行う中で感じている東東京でビジネスを行うメリットとは? 代表取締役の吉原ゴウさんにお話しを伺いました。

事業領域の制限は一切なし

LIGのウェブサイトでは以前から「台東区上野のウェブ制作会社」とアピールされていますが、最近はウェブ以外の事業もさまざまに展開されているようですね。

そうですね、ウェブ制作事業から始まり、LIGブログという自社メディアを活用したプロモーションやマーケティングなどを手掛ける事業ができ、そこからコワーキングスペース「いいオフィス」を立ち上げたんですね。これが現在、東京・上野と広島、それにフィリピンのセブ島に展開しています。

その次につくったのがゲストハウス「LAMP」。長野県の野尻湖からスタートして、今では大分県豊後大野市と長崎県壱岐市にも出店しています。

本社(取材時、2018年11月に新社屋に移転)がある上野のビル内につくったコワーキングスペース「いいオフィス」

本社(取材時、2018年11月に新社屋に移転)がある上野のビル内につくったコワーキングスペース「いいオフィス」

日本全国で、リアルな「場」の提供やサービス業を展開しているのですね。

最近では、飲食店もいくつか立ち上げまして。京都にイタリアンバル「IL LAGO」、東京の御徒町に鯛茶漬け専門店「鯛茶STAND」とウィスキーのテイスティングバー「Whisky STAND」をそれぞれオープンしました。セブ島の「いいオフィス」の隣でも「MOTOKEYS」というお店を運営しています。

あとは教育事業。「いいオフィス」に併設した英会話教室「START-UP ENGLISH上野校 by LIG」や、デジタルハリウッドさんとタッグを組んだウェブクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO 上野 by LIG」を運営していて、2018年5月には池袋校も開校しました。どのスクールにもたくさんの生徒さんが足を運んでくれています。

こうした事業の多角化は、創業当時から考えていたのでしょうか?

いや、一切考えていなかったですよ(笑)。

ただ、僕らが実現したいことは「Life is Good」で、最終目標は「全世界70億人のライフをグッドにしよう」という、ものすごく広がりのあるものなんですね。だからこそ、「LIGはこれをやります」という制限は設けていないし、事業に広がりが出てきたのは当然だと思っています。でも、これもまだまだ成長の途中という感じです。

創業の舞台は隙間風が吹く入谷のアパート

吉原さんはもともと2007年に台東区の入谷で創業されたそうですね。

そうです。25歳の時に幼馴染のづや(現LIG取締役の高遠和也さん)を誘って、2人で「アストロデオ」というウェブ制作会社を立ち上げました。最初のオフィスはサッシがぐらついていて、窓を閉めても1cmくらい隙間ができてしまうような、そんな古いアパートの1室でした。

なぜ、創業の場として台東区を選ばれたのでしょうか?

僕もづやも地元は長野県の野尻湖の方なのですが、僕の母方が100年ぐらい続く浅草生まれ浅草育ちの家系でして。そのつながりで、僕自身も17歳で上京してからずっと浅草で暮らしてきたんです。

創業時代のエピソードを語る吉原社長

創業時代のエピソードを語る吉原社長

生まれた時から台東区と縁があったわけですね。

独立にあたって、オフィスは必要だろうと。当時は物件の探し方も分からなかったのですが、人混みや満員電車が大嫌いだったので「家から自転車で通える場所がいい」と考えて、入谷のアパートにたどり着きました。

そこから1〜2年でメンバーも増えて手狭になってきたので、合羽橋商店街の方にオフィスを移転して。その頃、会社としてもアストロデオから現在の「LIG」として再スタートを切り、さらにまた組織が大きくなったタイミングで上野に移転してきた、という感じですね。

営業は苦手だから「自分たちなりの情報発信」に力を入れた

数年ごとにオフィスの拡大移転を繰り返してきたということは、創業当初から比較的順調だったのでしょうか?

当初は予算3万円ぐらいの案件など小さな仕事もしていましたが、問い合わせはたくさんもらっていました。社員も2人だけだったし、“食うに困る”みたいなことはなかったですね。

かなり営業などに力を入れていたのですか?

いや、そもそも営業活動はあまりやりたくないし、向いていないなと感じていました。かといって特に何かコネがあるわけでもない。いま思えば、どうしようもない状況ですよね。

ただその一方で、独立前から個人的に面白ブログを運営していまして、自分たちなりの表現を世の中に出し続けていれば、こちらに興味を持ってくれる人がいるのは実感していました。

上野オフィスの様子。数名で集まって作業できるオープンなスペースがある

上野オフィスの様子。数名で集まって作業できるオープンなスペースがある

そこで、アストロデオ時代に最初にとった営業戦略が、とにかく思いついたウェブサービスを片っ端からつくりまくること。サービスを高速でリリースしては開発の経緯や技術的考察をブログに書いて拡散させていき、さまざまな人に使ってもらう。その繰り返しで知名度を上げていったんです。

積極的に情報発信をする、というのは現在のLIGブログにも通じるものがありますね。

おっしゃる通りです。LIGブログはオウンドメディアという言葉もない時代から10年以上やり続けてきました。LIGブログの基本設計は、僕らのやり方とか生活スタイル、社員が学んだ知識や経験を発信することで、社外の人に興味を持ってもらい、「わざわざ仕事を頼みたい」「わざわざオフィスに行ってみたい」と思ってもらおうというものです。

ウェブ制作で受賞した賞状の数々。その下にはスタッフが使っているスケートボードが置かれている

ウェブ制作で受賞した賞状の数々。その下にはスタッフが使っているスケートボードが置かれている

実際、こうしたメディアを通して多くの人に会社を認知してもらえると、何をやるにしても楽です。新規営業にしても、採用にしても、「ああ、ブログ見てますよ」と言ってもらえて、スタートの時点から違う。ですから、会社の成長にも大きく影響しているなと思います。

上野は「地方」にも「世界」にもつながるターミナル駅

創業から一貫して台東区にオフィスを構えてこられたわけですが、東東京でビジネスを行うメリットはどんなところにありますか?

正直、当初は「何が何でも台東区!」という思い入れはなかったんです。とはいえ、アクセスの面で言うと、「なんで上野にもっと会社ができないんだろう。台東区、頑張ろうぜ」って思っていますよ。

上野駅は都心の人だけでなく、千葉・埼玉方面からも通いやすいので、採用時のメリットにもなります。それに、東北や北陸方面への新幹線も出ていて、京成上野駅からスカイライナーを使えば成田空港も1本で行けてしまう。新宿あたりにも負けないターミナル駅なわけです。僕自身、ゲストハウスのある長野県などへの地方出張や、セブ島をはじめとした海外出張も多いので、上野は本当に便利ですね。

「台東区に貢献していると思いますよ」という吉原社長

「台東区に貢献していると思いますよ」という吉原社長

では、最後に創業を検討中の方々にメッセージをお願いします。

僕は「起業準備」なんていらないと考えているんですね。準備なんてしている暇があれば、まずやればいい。なぜかというと、準備って終わりがないんです。だから、まずはできる範囲で動いてみること。リスクなんて考え出したら、きりがないです。まずはやる、今すぐやる。

「起業」に制限なんてないですからね。「これで仕事を取るんだ」「これを売るんだ」と言えるものがあれば、まずは行動してみてください。ホント、僕のインタビューなんて読んでいる場合じゃないですよ!

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株式会社LIG
ウェブ制作会社として2007年に創業。現在では海外を含めた複数の拠点を持ち、多数の事業を展開。社名の由来でもある「Life is Good わくわくをつくり、みんなを笑顔にする」という理念を掲げ、自分たち、ひいては誰かの「LifeをGoodにする」ために「わくわく」することならば、あらゆることに挑戦し続けている。
[本社オフィス]
〒111-0056
東京都台東区小島2-20-11 LIGビル
https://liginc.co.jp/

写真:イシバシトシハル

この記事を書いた人

太田将吾

ライター/コピーライター。これまで求人・採用などキャリアデザイン関連が中心だったが、最近はテーマがライフデザインに拡大。ユニークな企業・団体・人との出会いが増え、「趣味=取材」の公私混同系ライターとしては楽しい毎日。