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2017.03.08
創業に対するモヤモヤの解決策は、知識よりも「気付き」を得る体験──TIP*S流“対話型イベント”参加のススメとは

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独立行政法人中小企業基盤整備機構 TIP*S担当参事(企画担当)
岡田 恵実さん

事業を起こしたい。新しいチャレンジがしたい。でも、自分のやりたいこと、取り組みたいことがまだクリアじゃない……。もしも、あなたがそんな漠然とした悩みを抱えていたら、東京・丸の内の「TIP*S」に足を運んでみるといいかもしれません。

TIP*Sは独立行政法人 中小企業基盤整備機構、通称「中小機構」が運営する創業者や中小企業で新規事業を検討している方をはじめ、「新しい一歩」を目指す様々な方を応援する施設。参加者同士の対話を重視した独自のイベント・ワークショップ・講座は、東東京で運営されている多彩な研修・セミナーの中でも一線を画す内容として高い評判を集めています。

そんなTIP*Sの運営メンバーの1人、“だえみさん”こと岡田恵実さんは、このユニークな空間を「創業モヤモヤ層の方にこそオススメ」と語ります。その理由はなぜか?じっくりお話しを伺ってきました。

まるでスナックのように気軽に参加できるワークショップ

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「参加者同士の対話型」にこだわる、TIP*Sのワークショップや講座。平日夜はほぼ毎日開催している。

岡田さん、早速ですが「TIP*S」とはどんな“場”なのでしょうか?

TIP*Sには運営しているメンバーみんなで考えたコンセプトがありまして。それが一言で言うと「スナック風」なんですけど。

す、スナック風って、カラオケがあるような、あのスナックですか?

そうです(笑)、スナックってそもそも別に寄らなくてもいいのに、なぜかついつい帰り道に寄っちゃう場所じゃないですか。

そうですね、つい足を運んでしまうようなイメージです。

そこで、仕事のことや気になっていることをママに相談してみたり、知らない人との出会いに恵まれて話し込んでしまったり。それが魅力だと思うんです。

私たちTIP*Sが提供したいのも、ここで誰かと出会い、参加者同士の対話を通して刺激を得られるような体験です。そして、「一歩前に進んでみよう」と新しいチャレンジへの想いやモチベーションが盛り上がっていくような、そんな気付き・発見・学び・出会いが生まれるイベントやワークショップ、講座を企画・運営しています。

各イベントやワークショップには、TIP*S独自の特徴などあるのでしょうか?

イベントは平日の夜は毎日実施していて、テーマは「創業」「女性の活躍」「ソーシャル」「地方創生」など様々です。一番の特徴は、とにかく参加者がコミュニケーションを重ねる“対話型”に絞っていることでしょうか。講義形式のインプットでは登壇者のノウハウ以上のものは提供できませんが、参加者同士の対話からは思いもしなかった視点や発想を得られるし、想像以上の気付きを得られる可能性が高い。

参加者が自ら「気付き」を得られる機会を提供しているわけですね。

はい、「自ら」というところがポイントです。それに対話形式だと、共同作業を通してお互いに人間関係を育むことができますよね。創業者も経営者もある意味孤独ですから、応援しあえる仲間の存在はとても貴重です。

ですから、学びの場ではなく“学び合いの場”を意識して設計していますし、一緒に頑張り合える、支え合える仲間が見つかってくれたら嬉しいなと思っています。

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初心者も参加しやすいワークショップから、企画などを疑似体験する実践的な講座までその内容は様々。

幅広い出会いと新しい視点が、想像もしない発見をもたらす

イベントやワークショップの参加者は、どんな方が多いのでしょうか?

TIP*Sでは多様性を大事にしているので、各イベントやワークショップは、基本的にテーマに興味がある方であれば誰でも参加できるようにしています。なので、創業準備中の方や中小企業で新規事業を検討している方もいれば、一番若い方は高校生、70代の大ベテランもいらっしゃいます。

普段の生活では中々出会わない人とも、コミュニケーションが取れそうですね。

ですから、本当に幅広い視点や意見を得ることができるんですよね。そうした方々に、1つ共通点があるとすれば、課題ややりたいことがまだ明確になっていない「モヤモヤ層」が中心という点でしょうか。

モヤモヤ層と言いますと?

例えば事業化したいことが決まっていて経営ノウハウを学びたい方ですとか、海外展開の手法を習得したいとか、課題が明確な方は、的確に解決できるセミナーや研修会に参加されていると思います。

一方で、課題やテーマがまだ明確でない方、課題の優先順位がつけられない方といった、モヤモヤとした悩み・不安を抱えている層に対する応援は、ほとんど無いのが現状です。そこで、私たちは課題解決からではなく、「チャレンジしてみたい」という漠然とした熱い想いや意欲を盛り上げるお手伝いをミッションにしているんです。

つまり、創業検討中の方であれば、まだどこから手を付けていいか見えていない方こそ、TIP*Sに参加した方がいい?

おっしゃる通りです。まずはここで様々な出会いを経験して、「面白い人が世の中にたくさんいるぞ」「対話って面白いな」と感じてもらいたいですね。そうして意識を外の世界に開いてみると、やってみようという気持ちも高まりますし、新しい一歩を踏み出しやすくなります。小さくてもアクションを起こせば、必ずフィードバックが得られますし、それがまた次の一歩につながっていくはずです。

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「TIP*Sへの参加を通して、想いややってみようと思う気持ちを高めてもらえたらうれしい」と話す、岡田さん。

他者目線が漠然とした不安を解消

創業希望の方にオススメのプログラムはありますか?

初めて参加する方でしたら、TIP*Sのメインプログラムのひとつ「マイプロジェクト道場」の無料体験会などがオススメですね。マイプロジェクト道場は全5回の講座で、日々の暮らしや仕事の中で感じる個人的な問題意識や違和感を参加者が持ち寄り、解決策を探りながら自分らしいプロジェクトを明確にしていくプログラムです。

一番の魅力は、「私ってなんだろう?」「私がやりたいプロジェクトって何だろう?」という私のwill=意思を、参加者との対話を通して見つめ直し、再発見できること。きっと無料体験会だけでもたくさんの発見があると思いますよ。

なぜ、自分自身を見つめ直すことが大切なのでしょうか?

「何か挑戦したい」と思っていても、具体的に自分に何ができるのか、まだ明確になっていないケースは少なくありません。そこでまず、自分自身がどういう人間なのかを人との対話の中で再確認できると、「これがやりたかったんだ」「自分らしいプロジェクトはこれだ」というものが少しずつクリアになっていくんです。

TIP*Sのイベントやワークショップに参加した方の中には、自作アプリの開発に取り組み始めた人もいれば、講座の中で出たアウトプットをベースに新商品のプロトタイプを企画した人、ここで出会った仲間でチームを組んでイベント用商品を開発した人もいます。そうやって例え小さなアクションでも、動いてみれば必ずフィードバックが得られますし、そこで得た気付きや発見がまた次の一歩につながります。

イベントやワークショップの中には、「ソーシャル」「地域創生」といったテーマもあると伺いましたが、「東東京」という地域について、何か特徴的に感じていることはありますか?

これはもう、圧倒的に人が元気ですよね! 東東京の方を招いて行うイベントも様々企画してきましたが、みなさんオープンで意欲的というか。「人と一緒に何かをやっていこう」ということに対して、ハードルがとても低くて、一緒にアクションを起こしやすい方ばかりだなと、私自身の経験から思っています。

オープンな気質に魅力を感じているわけですね。

そうですね。地域柄、小規模な工場や中小企業が多いこともあってか、経営者の方や後継者のみなさんの中には「周りと繋がって新しい取り組みを起こさなければ」という意識をお持ちの方が本当に多い。従来のやり方にこだわらない柔軟な方も多く、公的機関の人間で、よそ者扱いされてもおかしくない私でも、すんなりと受け入れてくれるんです。ちょっとおせっかいなくらい、世話焼きな人との出会いもたくさん経験していますし(笑)、これから創業したいとお考えの方にはいい場所なんじゃないかと思いますね。

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TIP*S(ティップス)
中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する全国の中小企業や小規模事業者、起業に関心がある方などのための新しい学びと実践の場。“みんなの「想いをカタチに」する場”を目指して新ビジネス創出のための「学び」「実践」「気付き」が得られるワークショップや講座、イベントを開催している。

〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-5-1 丸の内二丁目ビル6F 611区
電話:03-6212-1840(受付時間:平日10:00-18:00)
http://tips.smrj.go.jp/

この記事を書いた人

太田将吾

ライター/コピーライター。これまで求人・採用などキャリアデザイン関連が中心だったが、最近はテーマがライフデザインに拡大。ユニークな企業・団体・人との出会いが増え、「趣味=取材」の公私混同系ライターとしては楽しい毎日。