トップモノづくりパートナー紹介コミュニケーションのきっかけ生む、紙の可能性を追求
有限会社高田紙器製作所
代表取締役社長 高田照和さん
パッケージを中心とした紙器製品を手がける会社として、1929年に創業した高田紙器製作所。現在は、パッケージやディスプレイにとどまらず、ポップアップ名刺に代表される『コミュニケーションのきっかけをつくる紙製品』の企画から製造、販売までを手掛けています。迅速な提案力が特徴で、相談を受けるとその場で試作品をつくってイメージを共有し、開発がスムーズに進むというケースも多いそう。
型抜きした紙にオンデマンド印刷を施すという独自の技術により、人と違うものを、必要なときに必要なだけほしいというニーズに応えます。個人のクリエイターや、入れ替わりの激しい商材を扱う企業からの引き合いが強く、販路を広げています。
紙は加工がしやすいこともあって、様々な分野から相談をお受けしてきました。耐水性の紙を利用したキャンプ用品の開発、ミラノサローネに出展する紙製家具の設計補佐と制作、インバウンド向けペーパークラフト製品の開発と販売方法施策、アクリル製検査器具の紙製タイプの試作開発、世界最大の飛び出す絵本の設計と制作……一例を挙げただけでも、幅広いですね(笑)。
まずは、家具ですね。ミラノサローネに出展する紙製家具の制作依頼を受け、紙を繊維化して圧縮し、強度と耐久性に優れるバルカナイズドファイバー2mm厚の紙を使って数点作成しました。強度の補正と、デザインから加工可能な形への修正は大変だったのですが、大好評だったと聞いて、とてもうれしかったです。
もうひとつは、世界最大の飛び出す絵本。「ニコニコ超会議2015」というイベントの中で、アニメキャラクターが等身大で飛び出してくる絵本をつくり、ギネスに挑戦するという企画が立てられ、絵本の設計と制作を担当しました。
展開した状態で6.4m×4.8mという巨大なサイズと、それをすべて紙で作成するというルールのため、私も社員も徹夜での挑戦でした。残念ながら諸般の事情でギネス認定には至らなかったのですが、他社では真似できない製品の設計ノウハウと、制作に対する自信はつきましたね。
私たちの技術が活かされているのは、型抜きした紙にオンデマンド印刷を施してつくる製品ですね。ポップアップのカレンダーや名刺にもその都度印刷ができるので、シーズンごとに名刺の柄を変えたいといった、細かな要望にお応えできます。
企業向けには、商品を説明するための飛び出す絵本やロゴ入りレターパックなどを製作してきました。商品説明は紙のパンフレットから、タブレットなどのデジタル機器に移行していますが、アナログな魅力が活かせる場面がまだまだあるんだなと、お話をいただいて改めて感じましたね。
これまで、紙は記録や情報伝達の目的を果たしてきました。しかしそれ以外にも、軽さ、高い印刷適性、量産性といった長所を持っています。私たちが目指すのはその力を活かした、紙のイノベーションを起こす製品づくりとシステムづくりです。言葉にすると難しいのですが、『コミュニケーションのきっかけになる紙製品』が、これから生き残ってくると思います。
2018年1月からは、紙の立体化、可動化、IT技術と連動した新製品を毎月開発し、発表しています。
1月 メモインカレンダー(意匠登録申請中)
2月 スポンフレーム(特願申請済)
3月 ミニポン(販売テスト済)
4月 展示用POPUP什器
5月 紙製自立可動部品(ペーパーオートパーツ)
6月 新型薄本(コミケ用)
ホームページの問い合わせフォームや、メールでのご相談と会社見学は、随時受け付けています。
また、弊社には試作用インフラとしてオンデマンド印刷機とサンプルカッターがあるので、クリエイターご自身での制作のご希望も有償になりますが受けています。
展示会やイベントですが、年に4回以上は必ず展示会やイベントに参加していて、オリジナル製品の発表や、クリエイターとの協働企画も行っています。これまでBtoBの取引がメインでしたが、今年はBtoC向けの販売会にも出店し、開発・制作だけでなく、製品の販売にも力を入れ始めています。
葛飾区内の工場が集まるイベントや、夏のコミケ、ギフトショーなど幅広いジャンルのイベントに参加することで、新たなコラボレーションを模索しています。
取材写真:鈴木 潤
フリーライター。周囲の人や町の魅力を言葉で誰かに届け、私のあずかり知らないはじまりを作れたらと思います。明日が少し楽しくなるきっかけの時間「旅する図書館」というサロンをさまざまな場所をお借りして開いています。https://www.facebook.com/travelinglibrary.ultreya/